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Team MCT

藤原新の「脂肪をエネルギーに変える」マラソン戦略

かねてよりMCTを愛用してきた藤原新さんが、市民ランナー向け練習会で講師を務めました。前半の座学で脂質代謝を高める練習法やMCTの有用性を語るとともに、後半は効率的なフォームにつながる動きづくりを指導。レースを控えるランナーにとってMCTは実際どのように貢献してくれるのか。当日の模様をお届けします。

藤原 新(ふじわら・あらた)

元オリンピック代表、現スズキAC男子マラソンヘッドコーチ。

「30km以降で差をつけるためマラソンでは脂肪をエネルギーに変えて走ることが不可欠」という考えのもとMCT(中鎖脂肪酸)を10年以上摂り続ける。自己ベストは2時間7分48秒(2012年東京マラソン)

30km以降の失速を防ぐ鍵「筋グリコーゲン」

マラソンはエネルギーをマネジメントする競技です。いかに糖を長持ちさせるか、そのために脂質をどう使うかが重要になります。糖は体内にグリコーゲンの形で貯蔵されます。グリコーゲンには筋肉に蓄えられる筋グリコーゲンと、肝臓に貯蔵される肝グリコーゲンの2つがあります。マラソンで大事になってくるのは筋グリコーゲン。これが無くなるとゲームオーバー。30kmの壁で1分2分のペースダウンを招いてしまいます。筋グリコーゲンを最後まで持たせるには①筋グリコーゲンのタンクを大きくする、②筋グリコーゲンの使用量を節約する、2つの方法があります。

枯渇で「脂質代謝モード」を促した現役時代

現役時代は、筋グリコーゲンをとにかく節約し、脂質代謝モードでスタートしていました。筋グリコーゲンのタンクを大きくするには、練習であえて枯渇まで追い込む必要があります。そうすると、身体は「これではマズイ」と思って、筋グリコーゲンを合成する酵素を増やそうとし、筋グリコーゲンのタンクが大きくなる。走り込んでいる人にスタミナがあるのはこのためです。マラソンの練習は、筋グリコーゲンのタンクを大きくすることといっても過言ではありません。

例えば、30km走、40km走をするとき僕は1500kcalくらいの食事量にしていました。40km走るとだいたい2500kcal消費するので、30km過ぎにはものすごくきつくなります。それに耐えることによってタンクが大きくなるし、脂質代謝もできるようになる。枯渇すると糖がないので、脂質を燃やすしかないわけです。だから、タンクを大きくすることは、脂質代謝の能力を上げるのに比例しています。脂質が燃えることで体力も持ちますし、タンクが大きくなることでスタミナもつく。

「枯渇」の恩恵を受けられる最適な強度と頻度

市民ランナーが、練習であえて追い込む場合、枯渇具合は20~30%で大丈夫です。頻度は週1回くらいにとどめます。練習後、リカバリーとして補給する食事も満腹まで食べず7割くらいにとどめておきます。枯渇状態で走る場合、メニューはスピード練習ではなく、距離走やロング走です。30km走を行うとベストですが、難しい場合は朝イチに走って枯渇を早めるという手もあります。30kmが難しい場合、ちょっと枯渇した状態で行う20kmでも効果はあります。強度は低か中強度くらい。目安は無理なく長く走れるスピードです。

走り始めから脂肪を燃焼させるMCT

MCTは、脂肪をエネルギーに変えることで筋グリコーゲンを節約する効果があります。脂肪がエネルギーに変わるのは走り始めて30分ほどですが、MCTをとると最初から脂肪燃焼モードに入れます。逆に走る前に糖を摂ると脂肪燃焼モードが終わります。レース当日、僕は3時間から4時間前にMCTを摂っています。MCTはすぐにエネルギーに変わるので、2時間や1時間半前でもいいかもしれません。

レース中お腹がすいたら走りながら食べる。フルマラソンで4時間5時間走る人であれば脳のためのエネルギー(=肝グリコーゲン)がなくなってくる。肝グリコーゲンがなくなると走れないので、その場合は血糖値維持のためにジェルを補給します。アドレナリンがどんどん出ているのでレース中であれば糖を摂っても脂肪燃焼が妨げられません。反対に走り出してからMCTは摂りません。消化に負担がかかるので。レース前はMCT、レース中はジェルです。

講義後はランニングフォームの指導。着地の際、股関節で衝撃を吸収できるといいフォームにつながる。練習会では階段を使って動きの感覚を確認
脂肪を燃やしながら走るには、ランニングエコノミーを高め、少ない酸素で効率的に走ることが求められるという藤原さん。股関節のバネを最大に使ったきれいな走りを目指す

練習を終えた参加者からは、
「レースではいつも30kmでガクンと落ちていました。筋グリコーゲンのタンクを大きくしなくてはいけないのだと講義内容を聞いて腑に落ちました」

「今までは走り始め脚が重くて。藤原さんに動きづくりを教えてもらって、自己流でやっていたスクワットのやり方が間違っていたことに思い当たりました。やみくもにロング走をしてきましたが、ロング走でかついいフォームを維持できれば成長できる気がします」などの声が聞かれました。