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Team MCT

走り込みと合わせて行うと効果的!
MCTオイル活用法

「走り込み」と合わせて行うと効果的

脂肪をエネルギーに変えるMCTオイル活用法

脂質を効率よくエネルギーに変える「ファット・アダプテーション」の実践法を、プロトレイルランナーの矢田夕子さんにうかがいました。

矢田夕子 やだ・ゆうこ

UTMF準優勝、野辺山高原100km優勝などの戦績をもつ、トレイルランニング、ウルトラマラソンのトップ選手。2007年に実業団を引退後、ケガが多く走れなかった実業団での経験を生かそうと、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の資格取得。現在は東京都多摩市にて治療院&トレーニングルーム「TREAT」を運営

MCTオイルで脂肪を活用しやすい身体を作る

 フルマラソンを走りきるためのエネルギー源は、身体に蓄えられる「糖質」だけでは足りません。途中でエネルギー補給をすることはできますが、体内の「脂質」を活用することができるようになると、ガス欠や後半のペースダウンを抑えることができ、マラソンの記録向上に有効です。

 前回は、日常的にMCTオイル(中鎖脂肪酸油)を摂取することにより、脂質をエネルギーとして活用しやすい身体を作る「ファット・アダプテーション」を紹介しました。一般的な調理油と比べて消化吸収が速く、エネルギーになりやすいMCTオイルは「運動習慣のある人が継続的に摂取すると運動時に脂肪をエネルギーに変えやすくなる」ことが報告されています。

継続こそがカギ 無理なく続けられる工夫を

―脂肪を活用しやすい身体を作るポイントを教えてください。

「まず、食事で摂る糖質の量を減らし、脂質の量を増やすことが基本です。ただし、1日の摂取カロリー自体が減ってしまうと、身体はエネルギーを節約しようとするので、基礎代謝が落ちてしまうことがあります。1日の摂取カロリーは落とさずに脂質の割合を増やすことが重要です。また、糖質を控えすぎると、とくに夜は睡眠の質が落ちてしまうといった弊害も出てくるので注意してください。
 積極的に摂っていただきたい脂質は前回もご説明したMCTオイル(中鎖脂肪酸油)です。調理で使われる一般的な油(長鎖脂肪酸油)は体脂肪として蓄積されやすいのですが、MCTオイルは消化吸収が早く、エネルギーになりやすいのでおすすめします」

―無理なく続けるコツはありますか?

「ファット・アダプテーションでは、MCTオイルを摂ることに加え、1日に何も食べない時間を10時間以上空け、間食もしないことをおすすめしているのですが、それがストレスになると逆効果です。普段1日3食しっかり食べる人なら、無理に2食にせず、食事の間隔を少しでも空けるようにするなど、できる範囲で行うだけでも身体は変わります。
 はじめは朝ランの前に手軽に食べられるゼリータイプのMCTオイルを摂るだけでもいいと思います。私がよく行っているのは、サラダにナッツ、チーズ、アボカドを入れ、MCTオイルをかけて塩コショウで味付けをする方法。無味無臭のオイルなのでコーヒーやヨーグルトに混ぜて摂るのもおすすめです」

トレーニングの強度に合わせて取り組むと効果的

―そのほかに効果を上げる方法はありますか?

「フルマラソンの2、3カ月前から脚づくりのために走り込みをする人は多いと思います。LSD(ロング・スロー・ディスタンス)など強度の低いトレーニングではエネルギーとして脂質が使われやすいので、この時期に合わせてファット・アダプテーションに取り組むと、脂質代謝が効率よく回っていきます」

―強度の高いトレーニングを行う日は?

「インターバルやペース走など、高強度のトレーニングを行うときは糖質が必要になってきますので、脂質ばかりでなく糖質もしっかり摂ることをおすすめします。誤解しないでほしいのですが、低糖質ダイエットのように糖質制限を課すものではありません」

―強度が高いと糖質が必要になるのはなぜでしょう?

「エネルギー源としての糖質と脂質は、運動強度によって使われ方が異なります。低強度のトレーニングでは脂質からのエネルギーが使われやすいのですが、AT値と呼ばれる有酸素運動の上限を超える高強度になると、身体は主に糖質を使うようになります」

―マラソンのレースペースは強度的にはどちらでしょうか?

「楽しくゆっくり完走するペースなら脂質が使われやすいのですが、自己ベストを狙うペースになると糖質が主に使われます。ただ、限られた糖質を終盤に温存しておくためにも、脂質を使えた方が有利ですよね。脂質が使える身体になってくると、脂質由来のエネルギーでも運動強度を上げられるようになるので、糖質への依存度をより抑えることができます。マラソン後半の失速を招かないためにも、脂質を使えるようになることは重要。ファット・アダプテーションを継続することで身体は変わっていきます」

パーソナルトレーニングジム「TREAT」での測定風景。ファット・アダプテーションに
よって高い強度でも脂質を使って走れる身体になる傾向が確認されている

まとめ

「脂質を使って走れる身体になる」

●MCTオイル(中鎖脂肪酸油)の摂取がカギ

 MCTとは、中鎖脂肪酸100%の油のこと。ヤシ科植物のココナッツや、パームフルーツの核などに多く含まれる成分で、牛乳や乳製品にも含まれている。オリーブ油やなたね油、ラードといった通常食事で使われる油(LCT)よりも消化吸収が速く、すぐにエネルギーになりやすいという特長がある。

●食事の間隔を空ける

 1日に何も食べない時間(夕食と翌日最初の食事の間など)を10時間以上空け、間食もしないこと。これによって体内に食物が入る時間を減らし、血中にインシュリンがほぼ出ていない状態をつくると、身体に蓄えられている脂質が使われやすくなる。
 最初のうちは空腹を感じるかもしれないが、身体が順応して脂肪を使えるようになると空腹感はなくなる。

●初めは少量から。体質が変化するまで約4週間

 一般的な植物油と比べ、消化吸収しやすいMCTオイルだが、もともと油を消化吸収、分解しづらい体質の人もいる。まずは少量の摂取から始めて、徐々に増やしていくのがよい。約4週間で脂肪が燃えやすい体質に変化していく。

[企画協力]STRIDE PERFORMANCE CENTER http://fatadaptation.net/
代表の福地孝氏が、運動生理学のバックグラウンドから、エンデュランスアスリートの補給ための「脂質代謝」について考える中で「ファット・アダプテーション」にたどり着く。